| まえがき |
第一章 | アメリカ流経営、九つの弱み |
1 | 歴史のパースペクティブの中で |
| 一九七〇年代、アメリカの弱体化/貿易保護や多角化が産業をダメにする/高過ぎる配当性向がアメリカ経営を弱くした |
2 | 経営の時間軸、組織の継続性 |
| 長期的リターンか、短期的リターンか/継続性に欠けた組織/品質とものつくりの軽視 |
3 | 交差する日本とアメリカ |
| 「後進国」メンタリティーからの訣別/八〇年代・アメリカでの日本経営ブーム/一将功成りて万骨枯る |
| 退出の国、アメリカ 伊丹敬之 |
第二章 | 「日本的経営」も威張れたものではない |
1 | 日本的経営への違和感、そして劣化 |
| 日本とアメリカ、再びの交差/「日本的経営」礼讃への違和感/八〇年代、成金の日本へ/組織の劣化はもっと前から進んでいた |
2 | 経営者人材の枯渇 |
| 日本的経営劣化の三つのポイント/いいところもある日本型意思決定/育成できなくなった日本 |
3 | 「アメリカ流」の後追いは、もうやめよう |
| アメリカを真似たら負ける/経営者が解くべき二つの命題 |
| 「日本の経営」の新しいステージ 三枝匡 |
第三章 | 論理化する力・具体化する力 |
1 | 企業再生から経営者人材育成へ |
| 『V字回復の経営』その後/ミスミの経営改革 |
2 | 抽象の世界と現実の世界 |
| 経営の因果律の習得/現象を抽象化し、現実に即して解凍する/抽象化の背後にキーワードあり |
3 | 論理化すれば、普遍性を獲得できる |
| カンバンからリエンジニアリングへ/時間というキーワード/もう一つの現場からの抽象化の例 |
| 原理を考え、経営の具体策を練る 伊丹敬之 |
第四章 | 日本における「経営の原理」 |
1 | 「人本主義」が生まれるまで |
| 「株主のための経営」への違和感/情報の流れがカギだった/人本主義への批判 |
2 | 企業とは何か、株式市場とは何か |
| 「Why did you buy it?」/会社を「モノ」と見るか、「ヒト」と見るか/株式会社制度と株式市場を区別する |
3 | 揺れる振り子 |
| アメリカ的経営への反応の類型/アメリカ株式市場の実態 |
4 | 「ヒト」と「情報」から経営を考える |
| 戦略は人の心を動かさなければ意味がない/場のパラダイム |
| 経営における「ルーズさ」の功罪 三枝匡 |
第五章 | 「創って、作って、売る」サイクルの原理 |
1 | 「創って、作って、売る」の効用と難しさ |
| 「商売の基本サイクル」が生まれたきっかけ/セグメンテーションが重要/細分化による「チマチマ病」 |
2 | 組織における「場」の論理 |
| スモールが「場」を生む/パワー関係がゆがむ/シナジーを壊さず、サイクルを埋め込む/事業の原点に返る |
3 | 事業活性を高めるために |
| 組織を分ける難しさ/組織の元気と組織の効率性の面白いバランス/新規事業を新興企業に興させるアメリカ/新事業 |
| 情報の論理、感情の論理 伊丹敬之 |
第六章 | 人の心を動かす戦略 |
1 | マインド連鎖を起こす |
| 「目が輝く」ことの発見/情報のやり取りで心理的共振が起きる |
2 | 「マインド連鎖」を起こせる戦略とは |
| シンプルなストーリー/自分たちでやれるストーリー/ストーリーによる熱き心の刺激、信頼による納得性 |
3 | 個に迫り、勝ちが見える |
| 「個に迫る」ことで火がつく/勝ちが見えるということ/人を動かすための賞味期限/シナリオは最初からオープンに |
| 企業再生の要諦とは 三枝匡 |
第七章 | 事業の再生、大組織の改革 |
1 | 再生と改革の違い |
| 再生は時間との闘い/追い詰められての抜本改革/再生と改革、切り口や論理は同じ/いいことは自分のおかげ、悪いことは他人のせい/「水戸黄門のご印籠」にすぐ納得 |
2 | 時間軸の厳しさ |
| キャッシュが時間軸を決める/出血をまず止める/「断末魔のカーブ」を落ちた例 |
3 | 事業再生と大組織改革の違い |
| 直接話法と間接話法の改革/間接話法のカギは、組織、人事、管理会計/誠心誠意の抵抗 |
4 | 歴史は跳ばない、しかし加速できる |
| すべてのステップを踏まなければ変われない/誰が真の改革者になれるか/はじき出しのメカニズム |
| 直接話法と間接話法のミックス 伊丹敬之 |
第八章 | 抵抗勢力との闘い |
1 | 改革の現場では何が起きるか |
| 横から弾を撃たれる/再生と本書きの積み重ね/入り口は戦略八割、終わってみれば人間関係八割/最初のロジックを間違えるとダメ |
2 | 抵抗勢力の行動パターン |
| 改革の推進者と抵抗者のパターン/実力推進型を引っ張り出せ!/感情が先、論理があとの人たち |
3 | ドミノの力学 |
| 「ドミノの力学」が生まれるプロセス/ドミノの時間短縮/共有と共感の場/タテの連鎖とヨコの連鎖 |
| 辺境から生まれた改革者 三枝匡 |
第九章 | 失われてきた経営者育成の場 |
1 | 経営者人材を発掘する |
| 経営者人材の枯渇/面接をシステム化する/四十代の経営者を/壁を超える人材/変化の節目に来たミスミ |
2 | 日本流の人の育ち方 |
| 長期的雇用で力を引き出すというのは、本当か?/育つ時間に寛容であるということ/戦略家+フォロワーがベスト |
| 一握りの戦略家を育てるために 伊丹敬之 |
第十章 | 今、求められる経営者人材 |
1 | 経営者人材とリテラシー |
| 育つための三つの条件/経営者リテラシーの意味/大切なのは「熱き心」/人間的魅力がなければダメ |
2 | 経営者人材を鍛えるプロセス |
| 二種類の経営者人材の枯渇/日本流の大規模組織統御人材/人本主義の経営者には力量がいる/海外へ出ることが人を育てる/乱暴な人事でストレッチする |
| 経営者に求められる切断力 三枝匡 |
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| あとがき |