流れを経営する
持続的イノベーション企業の動態理論
流れを経営する
著者:遠山 亮子/
平田 透/野中 郁次郎
出版社:東洋経済新報社
出版日:2010/6/25
Amazon商品の説明より
『流れを経営する』―持続的イノベーション企業の動態理論
世界的に知られる『知識創造企業』の著者による書き下ろしの経営論。
「万物流転」のプロセスの中に企業の未来創造活動の本質があることを捉えた,知識社会のための「実践知」哲学を提唱する。
従来の経営学における理論の主流は,企業の優位性を物的な経営資源(モノ)に求める傾向があったが、その偏重により,経営の主体である人間の主観や「どう生きるか」という価値観を軽視する傾向があり、リーマンショックをはじめとする今日の混迷の原因になっている。
本書では,企業や人間のダイナミズムを把握するために,静止したモノそのものではなく、「変化する状態(プロセス)」を「コト」として,現実の世界を捉えることを提案する。
本書の前半部では,新しい経営理論を提唱し,後半部では,優れた日本企業の事例を紹介しながら、その優位性は「コト」発想のプロセス型の優れたマネジメントにあると説く。
主に採り上げる企業:トヨタ自動車,セブン-イレブン・ジャパン,エーザイ,公文教育研究会,パナソニック,良品計画,ファーストリテイリング,YKK,キヤノンなど。
目次
| はじめに |
第1部 | 理論編 |
第1章 | 知識について |
1 | 知識とは何か |
2 | 主観性 |
3 | 関係性 |
4 | 審美性、美学 |
5 | 実践 |
6 | 結語 |
第2章 | 知識創造の理論 |
1 | 暗黙知と形式知 |
2 | SECIモデル |
| 共同化 |
| 表出化 |
| 凍結化 |
| 内面化 |
| スパイラル |
第3章 | プロセスモデルの構成要素 |
1 | 知識創造動態モデル |
2 | 知識ビジョン |
3 | 駆動目標 |
4 | 対話と実践―思考と行為の弁証法 |
| 弁証法 |
| 対話-思考の弁証法 |
| 実践-行為の弁証法 |
5 | 「場」 |
| 場の促進要因 |
| 多様な場の有機的配置としての組織 |
6 | 知識資産 |
| 知識資産の概念 |
| 型 |
7 | 環境―知の生態系 |
第4章 | 知識ベース企業のリーダーシップ |
1 | リーダーシップの役割 |
2 | フロネシスの概念 |
3 | フロネシスの能力 |
| 善悪の判断基準を持つ能力 |
| 場をタイムリーに創発させる能力 |
| 個別の本質を洞察する能力 |
| 本質を表現する能力 |
| 本質を共通善に向かって実現する政治力 |
| 賢慮を育成する能力 |
4 | フロネシス能力を行使する |
5 | 結語 |
第5章 | 知識創造理論の物語的展開 |
1 | 物語化 |
2 | プリウス開発イノベーションの動態性 |
3 | 本質を問い直す |
4 | 未来への危機感 |
5 | 知識資産の蓄積 |
6 | 技術者の夢と思い |
7 | 「思い」をコンセプトに |
8 | コンセプトを形へ |
| 場を創出する |
| 場のルールを作る |
| 「あるべき姿」を考える |
| コンセプトを形にする |
9 | 場の重層的発展 |
| 燃費効率二倍の超越的な目標 |
| 技術的知識交流の場 |
| 技術知識の連結化 |
| さらなる高い目標 |
| イノベーションの展開 |
| 実践とフィードバックの高速回転 |
| デザインに意味を込める |
| コア技術を内部化する |
| 企業の限界を超えた知の連結化 |
| 全社レベルでの場の連結 |
10 | コンセプト継承と知識基盤形成 |
| エコの追求 |
| 市場との対話 |
11 | さらなる飛躍 |
| 環境から性能へ |
| 「カイゼン」による帰納法的進化 |
12 | プリウス・プロジェクトの意義 |
| 知識創造促進のリーダーシップ |
| 知識ビジョンと駆動目標 |
| 知識資産の形成と活用 |
| 場の形成 |
| 場の結合 |
| 場の活性化 |
| 対話と実践 |
| 環境―顧客との関係性 |
第2部 | 企業事例編 |
第6章 | 理念・ビジョン |
1 | エーザイ |
| 患者視点に立つ |
| hhcにつながったアリセプト開発 |
| hhcの理念 |
| 信念を実践する組織づくり |
| 患者と触れあい共感する |
| hhc活動による理念の実践 |
| 経験を形にする |
| モノからコトへ―アリセプト普及のプロセス |
| hhcビジョンの意義 |
| 研究開発の自己超越的革新 |
2 | YKK |
| 理念―善の巡環 |
| 理念と実践のリンク |
| 技術錬磨の場―工機事業本部 |
| 地域に棲み込むグローバル化 |
| 理念継承と再構築 |
| 自律性重視の人材育成 |
| 理念と実践のスパイラルアップ |
|
第7章 | 場と組織 |
1 | 前川製作所 |
| 場の共創の経営 |
| 独法―自律分散した場 |
| 顧客に成り切る |
| 有機的に結合された場 |
| 企業化計画―未来共創のための戦略立案プロセス |
| 未来志向のプロジェクト |
| 変化する組織形態 |
2 | パナソニック |
| 組織の硬直化と環境不適応 |
| 破壊と創造の過程 |
| めざす姿と場の創出 |
| 関係性の再構築―中村改革の意義 |
| さらなる改革へ |
第8章 | 対話と実践による事業展開 |
1 | セブン-イレブン・ジャパン |
| 事業のきっかけを見出す |
| 実践から学び、新らたな仕組みを作る |
| 経営の本質を言葉にする |
| 仮説を立てて検証する |
| 直接対話の重層的場 |
| 顧客の変化に対応し続ける商品開発 |
| 機能を結びつける |
| 実践知の経営 |
2 | 公文教育研究所 |
| 子どもへの「思い」から始まる |
| 事業モデルを作る |
| 「気づき」を導く |
| 実践から学び、新らたな仕組みを作る仕組みにする |
| 「指導者」は直観と経験を行使する |
| 未来に向けて |
3 | 良品計画 |
| コンセプトを生み出す |
| 事業モデルを構築する |
| ブランドコンセプトの絶えざる深化 |
| 社内外の多様な知を動員する |
| 商品開発の軸を定める |
| ビジネスシステムの改革 |
| 他社に学び、組織を改革する |
| ブランドを再構築し、世界へ挑戦する |
| 存在価値を追求する |
第9章 | リーダーシップ |
1 | 三井物産 |
| 成果主義が生んだゆがみ |
| 新たなビジョンを発信する |
| 継続的に意識改革を進める |
| 評価制度を変える |
| 価値創造型組織への転換を図る |
| 本質的な存在意義を追求する |
2 | ファーストリテイリング |
| アクチュアリティの只中で気づく |
| スピードと実践を究める |
| 跳躍を可能にする仕組みづくり |
| 試行錯誤で動態性を保つ |
| 人材を育て、継承する |
3 | キヤノン |
| 事業部制が壁となる |
| 改革の意思を示し、実践する |
| 重層的な「場」を形成する |
| キャッシュフロー経営への転換を図る |
| 現場で実践する |
| 時代の流れをつかむ |
| 新たな時代への戦略を構築する |
終章 | マネジメントの卓越性を求めて |
1 | 実践知経営の本質 |
| 生きた現実から主観により知を創る |
| 「在る」から「成る」へ―動的関係性から生まれる知識 |
| 卓越性を究める実践知経営 |
2 | 実践知経営のさらなる展開に向けて |
| アクチュアリティを見て直観する |
| 実践的推論を磨く |
| より大きな関係性で世界を捉える |
| 生き生きとした場を構築する |
| 異文化的超越によるグローバルな場の構築 |
| 「型」により賢慮を育成する |
3 | 知を価値に変換する枠組み |
4 | 総括的考察 |
解説 | 研究開発のマネジメントからナレッジ・マネジメントへ |
| ―戦略的マネジメントに対する知識創造理論の貢献(デイビッド・J・ティース) |
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| 参考文献 |
| 索引 |
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