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金融大崩壊

「アメリカ金融帝国」の終焉

金融大崩壊―「アメリカ金融帝国」の終焉 (生活人新書)
金融大崩壊
―「アメリカ金融帝国」の終焉
著者:水野 和夫
出版社:日本放送出版協会
出版日:2008-12

内容

サブプライムローン問題に始まり、“リーマン・ショック”で爆発した世界金融クライシス。それは米国型「投資銀行」ビジネスモデルの崩壊とともに、天文学的なマネーが流動する世界の資本主義経済が、次のステージに突入したことをも意味している。早くから金融バブルの崩壊を予見してきた気鋭エコノミストが、この未曾有の金融クライシスの本質と、世界と日本のこれからを鮮やかに読み解く。

読書メモ

なぜ今回の金融危機が起こったのか、実体経済への影響はどの程度あるのかの考察は、非常に納得感の高い説明。経済に明るくないので、内容がすべて正しいと断定はできないけれど我々一般のビジネスパーソンに指針を示してくれる一冊。非金融系の企業に勤めるビジネスパーソンにとっても現状を把握・分析し、自社への影響を想定することは今後の事業活動にとって重要です。「なぜこんなになってしまったのだ」と狼狽せず、なすべき対策を考える時です。

アクションにつながるヒントとなる第6章「日本経済の生き残る道はどこか」はマクロな視点から“日本輸出株式会社”が向かうべき方向を示しているのが大変興味深い。欧米の消費が落ち込む中、ターゲットをアジア新興国の中産階級へシフトすべきというのも本書を通して納得できた。(ただ言及がかなり少ないのは残念。エコノミストの視点から実体経済の話をもっと聞きたかった。)
いつの不況の時代にも大成功をおさめる企業というのは必ずいます。本書を読んで日本の企業がそうなることを期待したいと思った。

(参考)
「大恐慌」時代に成功したマーケティング戦略

目次

まえがき
第1章アメリカ発世界金融危機
連鎖する不安
9月15日「ショック」の理由
危機管理能力への懸念
ダブルスタンダード
追い込まれたアメリカ
2007年から高まっていた不安
そして、5大投資銀行がなくなった
第2章危機の震源、サブプライムローン問題とは何か
グリーンスパンの警告
1995年の転換点
「国民」「国家」にとっての危機
なぜ「サブプライム」なのか
バブルの構造
「証券化商品」の仕組み
強奪的融資
リスクの不可視化―CDO
さらなる仕掛け―CDS
「神様」も踊った
中産階級の「夢」の消滅
第3章「アメリカ金融帝国」はなぜ生まれたのか
それは1968年から始まる
「大きな物語」の終焉
上がらなくなった企業の利潤率
新自由主義の台頭
IT革命と時価会計システム
覆った「経済の常識」
その時、日本は
「大きな物語」の最大の成功例―日本
21世紀の利子率革命
日本の「オウンゴール」
ありえた成長のシナリオ
アメリカはいつ気づいたのか
「金融帝国」の完成
第4章世界は不況からいつ脱出できるのか
金融から自動車ビッグスリーへ
不良債権が確定しない
いつ下げ止まるのか
不良債権の発生規模
アメリカ国民の生活
5年分の需要を先取り
バブルもグローバル化する
第5章「アメリカ金融帝国」終焉後の世界
「投資銀行」モデルの限界
実体経済を振り回す
ドル基軸の終わり
主役の座を降りるアメリカ
「G7の終わり」の始まり
「金融」の変化
「無極化」の世界
資本はどこへ向かうのか
第6章日本経済の生き残る道はどこか
日本輸出株式会社
日経平均株価、大幅下落の背景
日本の危機管理能力は
26年ぶりの安値の意味
新自由主義への”No”
「就職氷河期」は再来するのか
円高の影響
ターゲットは新興国の中産階級
必要な中小企業対策とは
財政支出はもう効かない
賃金はどうなる
二極化とセーフティーネット
本当のグローバル化へ
あとがき

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