当コラムでは、営業マンが総務担当者に与える「悪い大義名分」、「良い大義名分」について考えてきた。
最終回の今回は、総務担当者に望まれる営業マンについて考えてみる。
① 「プロの意見を」・・・外部ブレーン
総務担当者が営業マンに求めているのは、前回記したとおり、
さまざまな課題を解決してくれる「プロとしての意見」である。
総務部の中だけでは、前例にとらわれて、なかなか新しい方策を見つけることはできず、
総務担当者単独では他社事例も集める手立てが無い。
そこで、総務担当者は業務のプロである営業マンに期待することとなる。
さまざまな業務モデルや最新情報を知っている営業マンが、総務担当者にとっての相談先になるからだ。
そこで、他社事例、とくに同業他社の事例を収集し、その会社に合った業務形態はないか研究する。
それをベースにアドバイス、または提案をすれば、その営業マンは総務担当者にとって、
業者ではなく、外部ブレーンとなっていく。
他社事例を豊富に持っている頼れるプロ、外部にいるブレーンとなっていくのだ。
他社事例は総務担当者にとって、大変役立つ情報となるのである。
営業マンとしての信頼を得、今後の営業活動が有利に運ぶはずだ。
② 「これからもいろいろ教えて欲しい」・・・知恵袋
「プロとしての意見」を持ち、「他社事例」も豊富であれば、
総務担当者はその営業マンを信頼し、さまざまな意見を求め始める。
こういう状況になると営業マンは安泰なようだが、総務担当者も勉強をして、
さらに高度な情報を求めるようになる。
営業マンも現状に満足せず、勉強や情報収集を怠ってはならない。
総務担当者よりも高い視点でまったくべつの切り口を用意できる、
そんな知恵袋的存在の営業マンになるのが理想であろう。
③ 「誰に聞いていいかわからない」・・・困ったときの助け舟
総務部の特性で、誰に聞いていいかわからない、
そのような問い合わせがよく社内からよせられる。
当然、総務担当者もわからないことがあるので、自分でしらべるか、誰かに聞かざるを得ない。
私の経験からして、そのようなときは、なんでも扱う商社や、
地域に長く赴任している営業所長などが、ネットワークを駆使して解決してくれることが多かった。
問い合わせの内容に合わせて、専門分野の人を紹介してくれたり、
なんらかのネットワークにより解決してもらえれば、その営業マンへの信頼はぐっと高まる。
結果として、総務担当者は、それを解決することにより、社内の信頼度も向上することになる。
総務担当者より、助けを求められたら、
自社に関係ないことでも極力対応するようにしておくとよい。
営業マンが数多く「応える」ことで、総務担当者も「応えて」くれるはずである。
④ 「困ったときにすぐ来て欲しい」・・・すばやい対応
自社内の問い合わせや故障、クレームなどは、総務部に集中する。
そしてすばやい対応が要求される。
そのすばやい対応を助けるのも、営業マンの役割である。
とくにOA機器の故障、専門的事項となると、総務担当者の能力を超えることが多い。
総務担当者はすぐに、保守メンテナンス会社、あるいは、営業マンに連絡をとり、
その対応を依頼する。
そして、ここでの対応のすばやさが、今後の受注に大きく影響する。
故障への対応は、スピードがすべてなのである。
⑤ 「もっと面倒を見てほしい」・・・マメなフォロー
問い合わせや故障、クレームだけでなく、その購入先の経営状態や時代の要請により、
購入したものの運用が変化する場合がある。
そして、慣れ親しんだ方策を改善するには多大なパワーを費やし、
総務担当者はこうした業務を避ける場合がある。
そういうときにサポートするのが、営業マンの役割である。
納品先の社内情勢や社風、企業体質を把握し、それを最新の業務モデルと比較検討して、
その会社に合った方策を提案していくのである。
そのためには、こまめな訪問により、問題点や困りごとを聞き出していく。
こうした営業活動は、総務担当者を「いつもうちの会社を気にかけてくれてありがとう」
という気持ちにさせる。
総務担当者は、プロの指摘によって現状が改善されることを願っているのだ。
このように「よい大義名分」が作用すれば、総務担当者の気持ちを動かすだけでなく、
プロの営業マン、つまり、
総務担当者に選ばれる営業マンを生み出していくこととなる。