今日はゴールデンウィークの最中でもありますから、軽くよもやま話的なものを書きます(って、ていのよい言い訳です。きちんとしたものを書く時間がないだけです)。
1.ユニクロとエコ
「もったいない」と「エコ」とは別物だと、いまごろになって気づいたおバカな私の話です。
ユニクロ製品を買ってお洗濯を繰り返していると、シーズンが終わるころには、なんとなくダレた感じになる。ヒートテックのような下着でも、繊維が疲れてきた(?)感じになる。値段からいったら当然のことだが、また次ぎのシーズンに新しいものを買う面倒くささがりやなので(洋服を買うのは大好きですが、自宅や近所で着る普段着を買うのは好きではない)、つい、まわりの人間にグチを言ったら、一笑に付された。
「ユニクロの服は、一シーズン着たら捨てるのよ」・・・働いている若い女性が言うならともかくも、70代の人(母です)にも、あったりまえのようにそういわれた。戦後のモノがない時代に育ち「もったいない」精神がしみこんでいるはずの70代の人は、「みんな(親戚や友人のこと)そうしてるわよ」と付け加えた。
それでハタと気がついた。
水と電気と洗剤を使って洗濯を繰り返せば、それだけCO2が排出される。ジャケットなどの場合、ユニクロ価格なら、数回のクリーニング費用でジャケット一着買えるかもしれない。そのうえ、ドライクリーニングに出すということは、CO2が出るということでもある。だったら、毎年、新しい商品を買ったほうがよい。
ユニクロ、無印良品、それからチープシックとかファストファッションと呼ばれるH&Mなどは、一シーズン着て捨てたほうが、それをきれいにして来年まで維持していく工程から出るCO2排出量を考えると、ずっとエコ的であり、グリーンなことかもしれない。つまり、「もったいない」と「エコ」や「グリーン」はまったく別のことなのだと遅まきながら気がついた・・・というわけだ。
ユニクロは、2007年から本腰をいれ、3月と9月に全商品の回収、リサイクル活動をしている。リサイクルは3段階に分かれていて、1) 発展途上国への寄贈、2)繊維に戻して軍手や断熱材として再使用、3)それもダメな場合は発電用燃料として使用・・・となっている。
リサイクルを案内するユニクロ・ホームページには、「お客様に長く着ていただける『本当に良い服』を製造し販売するだけでなく・・・」と書いてある。しかし、ユニクロの低価格を考えると、長く着てもらえる服などつくらないほうが、地球環境には良いのかもしれない。一シーズン、洗濯やクリーニング屋に出す回数を可能な限り最低にして、CO2を排出しないで捨てる、あるいはリサイクルするために店舗に持っていく。
ところで、最近、買い控えをする消費者の購買を促すために、「リサイクルする」といって、不要商品を引き取る小売業が出てきた。引き取るためには幾ら以上買わなくてはいけないという条件をつけたり、反対に、リサイクルに出せばクーポン券を渡すところもある。どちらにしても、「まだ使えるのに、新しいものを買うなんてもったいない」と躊躇する消費者の罪悪感を、「リサイクル」という言葉で消してあげることによって、購買行動を促すわけだ。だけど、こういった企業は、ユニクロみたいに本当にリサイクルしてるのかなあ? ひきとったものをそのまま燃えるごみに出したりしてないよね?
もっとも、消費者のほうも、自分が罪悪感を感じなくてすむ限りにおいて、他人ががどうリサイクルするのか、気にしているひとなんて余りいないのが現実だろうけど・・・。
2.不況用のコマーシャル
不況で巣ごもる消費者が多くなっているところに、新型インフルエンザ。これでは、ますます巣の奥深くに入り込んでしまいそうだ。5月1日に発表された全国消費者物価指数が一年6ヶ月ぶりに減少に転じたということで、今度は、デフレの懸念が高くなったと報道されている。それでも、小売業は、まだ、低価格路線を続けるつもりなのだろうか?
前回にも書きましたが、博報堂生活総合研究所が2008年末に不安を感じる日本人は72.4%もいると発表している。いま調査したら、もっと高くなっているかもしれません。不安という感情は恐れの変形だ・・・とか、不安は、敵の正体がはっきりせず、逃げるべきか、戦うべきか、行動を選択できないときのあいまいな感情だ・・・ということも、前回(マーケティングNOW10)に書きました。
不安というのは、なにをすべきか決められないから不安なのであり、自分が無力であることに不安を感じているともいえる。そのせいもあってか、不安な気分状態にあると、人間は、見知らぬひとをネガティブに胡散臭く見るのではなく、反対に、通常のときよりも親近感を覚えやすくなるという実験結果がある。
不安が人をより友好的な気持ちにさせ、感情的に結びつけるのは、たぶん、何十万年とづづいたアフリカでの狩猟採集生活での経験が、脳にそのほうがよいと判断させているのだろうと進化心理学者は考える。つまり、自然災害や大型肉食獣から身を守るときには、なるべく多くの人数が群れになって集まっていたほうがよい。不安を感じたときは数が多いほうがよい・・ということだ。
だから、消費者が不安に感じているときに、安心感を与えるような広告メッセージを送ることは、消費者と感情的に結びつくビッグチャンスなのだ。
クリスマスやお正月用のTVコマーシャルを製作するのに、なぜ、不況用のコマーシャルっていうのはないのでしょうか?
長い歴史のあるブランドなら、「あなたのお母さんも、おばあさんも、そのまた、お母さんも、ずっと使ってきた。戦争も、大震災も、すべての時代の荒波を乗り越えてきたブランドです」と安心感をあたえるような内容のメッセージ。
消費者は、自分で行動できないあいまいな状態にいるのです。信頼できる相手の指示を期待しているのです。こんなときは、企業が自信をもって強いメッセージを送るべきなのです。いま、小売業がしていることは、「低価格商品(だけ)を買いなさい」と強く指令しているようなものです。
しつこく書きます。
お正月やクリスマス用のコマーシャルがあるのに、なぜ、不安な時期用のコマーシャルがないのでしょうか?
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