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コンサルタントが教える業務改善のコツ!

コンサルタントが教える業務改善のコツ!

第1回 忙しすぎて業務改善の時間がとれない方へ

2009 年 10 月 26 日

Cc: dysturb / Flickr

業務改善コンサルティングの現場ノウハウ公開

本連載は企業の業務改善コンサルティングを行う株式会社プロセス・ラボの代表取締役 松浦剛志 氏に業務改善コンサルティングの現場で使われる様々なノウハウを連載いただきます。

業務改善コンサルタントとして数多くのプロジェクトを手掛けた松浦氏による企業の業務改善事例やコンサルティング現場で実際に活用される手法、業務改善コンサルティングの知見を社内で実際に活かす方法までお聞きします。

業務改善の取り組みの中でよくある悩み・失敗を未然に防ぎ、仮に失敗したとしても打開策をどう立てたら良いかなど有益なコンサルティング手法はあなたの業務改善に役立つ内容です。既存の業務改善の方法論でお困りの担当者様やあくなき業務改善を目指す方にコンサルティングの現場で培われた改善手法をお伝えします。

『第1回 忙しすぎて業務改善の時間がとれない方へ』

業務改善によって仕事をもっと効率的にして残業を減らしたい!そう考えている人は多いでしょう。しかし、いざ、業務改善となると改善活動の時間が取れない!というジレンマに陥ってしまう状況はよくあります。業務改善活動自体がルーチン業務(通常業務)でなく、新たに時間を必要とする限り、「業務改善に着手できない⇔残業は減らない」・・・というジレンマから抜け出すことは、一歩踏み出すと地雷を踏んでしまう地雷畑から脱出するようなものです。業務改善(BPR)にかかわる悩みや失敗事例への対応を考える、「コンサルタントが教える業務改善のコツ!」シリーズ初回となる今回は、「業務改善のための時間を搾り出す工夫」について、コンサルティングの現場で実際に使用されている方法を例に解説します。

時間を搾り出すには、やらなくていい仕事を探すのが一番です。でも、「やらなくていい仕事が何か?」がそう簡単に分からないから苦労するのです。そもそも、自分がどんな仕事をどの位の時間をかけてしているのか、しっかり分かっている人はそれほど多くありません。実際に計ってみると感覚値との3割くらいのズレはザラにあります。

そのため、まずはさておき、自分が何をどの位の時間をかけてやっているのかを知るために、タイムシートをつけることをオススメします。業務改善の時間がとれない方は、そもそもこのコラムを読んでいる時間もないでしょうから、実際にはあなたの部下や同僚に、タイムシートをつけることをあなたがオススメすることになります。(⇒ここから先は、「どうやって部下の時間を作り出すのか?」という内容で話を進めます。)

さて、そのタイムシートですが、懲りだすとキリがないので、簡単で効果的な方法を考えてみましょう。PCでの作業が中心の人ならExcelへの入力、それ以外の人はA4半分くらいのメモ紙に書き込むのがよいでしょう。いずれの場合も、何か作業をしたらすぐに記録するというリアルタイム記録が必須です。

入力内容や記載内容は、作業の開始時間、作業の終了時間とその作業の属性となります。属性は
① 作業場所(デスク/会議室/移動/etc)
② 関係者(一人/上司/部下/同僚/社内複数/顧客・etc)
③ コミュニケーション方法(電話/対話/メール/etc (注)一人の場合は不要)
④ 主なアウトプット
の4項目で構成すると有効な情報を得られます。このうち①②③を選択式にしておけば入力や記述の手間が省けます。

ここで出てきた④のアウトプットとは何でしょうか?作業におけるアウトプットとは、
・綺麗に加工されて後工程にまわる前の仕掛品
・顧客管理データベースに入力された顧客情報
・上司へ検印にまわす準備が整った提案書
・クレームをすべて言い切って店舗をでていくお客様
などのように、ある程度の時間がかかるプロセスの結果として、モノや情報や人が、結果としてなる状態・状況です。結果としてなる状態・状況が、ある程度の目的性をもった塊に区切るのがポイントですが、コツさえ掴めばすぐ慣れます。この4つの要素のいずれかが変わるとき(場所が変わる、相手が変わる・・・など)にタイムシートの1レコードが終了することになります。

このタイムシートを翌朝、部下とともに見ながら、それぞれのレコードごとに◎不要、○不要かもしれない、のフラッグを立ててみましょう。④のアウトプットが書き出されていることで、◎or○が部下本人でも改めて見ると分かるものなのです。これを1ヶ月もつづければ、削減できる時間がどのくらいあるのか、あたりがつきます。
タイムシートを都度つけて、翌朝に上司である「あなた」とともに◎○をつける・・・。この作業自体に時間が取れないと言い出す厄介の部下がいるかもしれません。あなたも薄々気付いていると思うのですが、時間が無いのではなく、やる気の無い部下です。こんな輩への対処方法は次回以降に秘策を伝えるとして・・・、本題に戻りましょう。

「やらなくていい仕事」の時間やサイクル(曜日や日数による規則性)にあたりがつくようになれば、
・今後はその作業をしないようする
・その期間に業務改善のための時間を予め設定する
というだけのとっても簡単な話です。
タイムシートをつける作業によって、自分で時間管理を意識できるようになり、なんとなくすごしていた時間が減ります。筆者自身ももう8年間続けています。

さて、さらに時間を作り出す方法にも触れておきましょう。それは、先ほどのタイムシートで◎も○も付けられなかった中から、上司であるあなたも気付いていないものの、実は不要なアウトプットを探し出すことです。
・お客様からの照会事項をデータベース入力しているけど、これって必要なのかな?
・経理に提出する前に部内の領収書をチェックしているけど、これって必要なのかな?
・企画部に提出する係数とりまとめ表って必要なのかな?

このような判断を上司であるあなた自身ができないことは、よくあることでしょう。その場合は、そのアウトプットが不要でないかを後工程まで追っていき(トレースして)解明することです。この仕事は簡単ですが、時間は取られるので、地雷畑の真っ只中にいる部下ではなく、同僚にやってもらいましょう(地雷畑の真っ只中から同僚を救い出す栄えある特命事項です!)。

アウトプットのトレースは、そのアウトプットを次に誰が利用するかを把握することが大切です。メールや郵送物なら送り先、共有されたデータベースならアクセス履歴から利用者を割り出します(利用者がAさんだったとしましょう)。次に「このアウトプットがないと、あなたは、どんな風に困るのでしょうか?」と利用者のAさんに聞きましょう。このとき、Aさんから「このアウトプットがないと、私が作成するA資料ができません」という回答を得たら、具体的にA資料のどこの欄が作成できないかを聞きます。そして、次にそのA資料をもって、A資料の利用者(Bさん)に、また聞きましょう。「A資料のこの欄に記載がないと、Bさんは、どんな風に困るのでしょうか?」と。これを繰り返し、行き着くところ、あまり利用されていない情報源となっているアウトプットを探し出します。

このトレースは、部下が多くの時間を割いている作業からあたりを付けていくことで、効率的に時間を作ることが可能になります。
今回は、タイムシートの作成をトリガーに業務改善のための時間の作り出し方について触れました。まずは、余力を作って、そして業務改善の本丸へとコマを進めましょう。

丁度、小さく縮んでから大きく飛び上がる様に、まずは業務改善のための余力をつくりましょう。

株式会社プロセス・ラボ
プロセス・ラボ社は企業の業務現場、製造現場、システム導入・運用の現場における業務改善コンサルティングを手掛ける。
業務現場・コンサルティング・アウトソースのそれぞれの経験を通して培った業務プロセスを理解・改善する実践的な手法を開発し、研修・コンサルティングを提供している。

(コンサルティングメニュー)
■講義中心に学ぶ→業務改善手法の研修 ■手を動かしながら技術を身につける→フローチャート作成講座/業務改善ワークショップ ■改善成果をあげながら体得する→業務改善コンサルティング/システム(ERP)導入コンサルティング/業務フローチャート作成請負

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