2回に渡ってお送りしてきた市場の地位別戦略。(市場の地位別戦略のフレームワークはこちらの解説をご覧ください)リーダー、チャレンジャー、ニッチャー と来て最後3回目はフォロワーを取り上げます。経営資源で質・量ともに劣り、ある意味最も苦しい立場にいる彼らの生き残る方法とは?オバマ大統領の決め台詞にヒントがある。
本コラムは ブログ:Kanamori Marketing Officeの2007年9月の記事を転載しております。
CC:springhill2008 / Flickr
政局の混乱による経済への影響が懸念されるが、好景気が終わったわけではない。
しかし、この好景気は「実感を伴わない」とよく表現される。
確かに生活者にとっても、経営者にとっても、それは偽らざる本音だろう。
この好景気は、実際に未曾有のものだ。期間の長さではない。
「景気拡大」と「企業淘汰」が同時進行するという例は過去にはない。初めてのケースを我々は経験しているのだ。
グローバル化と進むM&A。寡占化。
一連の動きは先日来述べている「リーダー」「チャレンジャー」「ニッチャー」「フォロアー」という企業ポジションと無関係ではない。
前々回、強大な力を持った「リーダー」に対し、「チャレンジャー」は徹底的な差別化で戦うと述べた。
前回は、「ニッチャー」は自社の価値の源泉、「バリュープロポジション」を明確にし、他社にはできない必殺技を磨くか、顧客に対する問題解決力を高め、最適化するかが求められると述べた。
では、残る「フォロアー」は?
ナンバー1のリーダーにはなれない。それに戦いを挑むチャレンジャーほどの力もない。ニッチャーとしての”独自の生存領域の確保”もできていない。
実はそんな企業が多いのもまた現実。
しかし、この時代それではなかなか生き残るのは難しい。
競争や変化が激しい業種であれば、存亡の危機はすぐに訪れるだろう。また、そうでなくとも、緩慢なる衰退が待っているのだ。
ではどうすればいいのか。
答えをひとことで言えば、「立ち止まらないこと」である。
冒頭に記した、「グローバル化と進むM&A・寡占化」というキーワードはフォロアー生き残りの一つの道筋を示している。
例えば「グローバル化・M&A・寡占化」が一番激しい業種の一つに製薬業界があげられる。
同業界においてはフォロアー企業でなくとも激しいM&Aと寡占化が進行している。
その理由はもはや有名であるが、合併によって”メガ・ファーマ”とならなければ、研究開発競争力が確保できないからだ。
国内大手の製薬会社であっても、世界規模で見れば現実には「フォロアー」であったという現実。
それを打破するために、M&Aによってチャレンジャーとしての規模と体力を確保した。これがフォロアー生き残りの一つのモデルだろう。
立ち止まらず、過去に縛られず、とにかく生き残れるよう規模を拡大することだ。
もう一つが、フォロアーからニッチャーへと変身することだ。
繰り返しになるが、ニッチャーの戦略の要諦は「独自の生存領域を確保すること」である。
そのためには、「バリュープロポジション」を明確にすることが必要だ。
顧客を絞り込む。得意なビジネス領域を尖鋭化させる。
実際にはフォロアーからチャレンジャー、もしくはニッチャーへの転身は簡単なことではない。
しかし、肝心なことはともかく「立ち止まらないこと」と「変わるという意志の強さを持つこと」なのである。