プランニングをしていてまとめた企画書を見ると、”とっても論理的でわかりやすいけど面白くないプラン”結構ありますよね。「なんかクリエイティブじゃないな~」と。案外フレームワークを使いこなし、思考の型をしっかり持っている方に多いかもしれません。今回の『カナモリさんのいうとおり~』ではこの「なんかクリエイティブじゃない」理由を解き明かします。
ブルース・リー主演『燃えよドラゴン』のあまりにも有名な台詞である。
マーケティングのプランニングは、「感じろ」という感性だけでは大ハズレを繰り返すことになる。しかし、「考える」だけでもダメなのだ。
最近、学生のビジネスプランのコンテストを審査したり指導したりすることが多い。答えの出ていない課題に取り組むというリアルなビジネス体験ができることはとても貴重だ。
しかし、残念なことに「これは!」というプランに出会うことはあまりない。そこには「学生だから経験が足りない」というのではない、我々ビジネスマンでも陥りがちな問題点が隠されていることが少なくない。
何の手がかりもなくプランを構築していくというのは困難であり、また効率的ではない。故に、マーケティング戦略の王道を踏襲する。「環境分析」を行う→「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」(略してSTPという)を明確にし、戦略の方向付けを行う→展開内容として「4P」を検討する。
さて、フレームワークに従って、一通り書き上げ「やれやれ」と一息ついて、プランを読み返してみると、「こんなのでいいのかなぁ?」と改めて悩み始める人が多い。なんだか、そのプランにある製品・サービスや事業が魅力的に映ってこないのだ。
何がいけないのか。フレームワークの弊害が出ていることが多いのだ。思考プロセスを早め、モレ抜けなくファクトを集めて、プランを形にして行くにはフレームワークは極めて有用だ。しかし、「穴埋め」的に進めたのでは「魂」が入らない。
では、その「魂」はどのようにすれば込められるかと言えば、自分自身が策定した「ターゲット」になりきって考えるということだ。
ターゲットが「30~40代・男性・サラリーマン」などと書かれれていることがある。企画者は本当にそのターゲットの気持ちになりきって考えただろうか。
自分は「30~40代の男性で、会社勤めをしている」ようだ。果たして年齢は30歳なのか?49歳なのか?30~40代でも、上限下限では肉体的にも精神的にも大違いだ。
会社勤めとはいえ、どんな仕事をしている?役職は?年収は?会社はどこにあるんだ?都市部か地方か。それ以外にも、家族はいるのか。休日など何を楽しみに生きているのか。などなど・・・。
ターゲットが明確にならなければ、そのターゲットが購入する理由(KBF=Key Buying Factor)がわからない。KBFは、その製品・サービスのポジショニングを設定するための重要な要素となる。ここがプランニングのキモなのだ。
Don’t Think. Feel!(考えるな、感じろ!)では困ってしまう。しかし、アタマで考えただけだと「30~40代・男性・サラリーマン」などという設定をしてしまう。
Think and Feel! 考えながら、なりきって、徹底的になりきって、感じてみる。そこまでの思い入れが必要なのだ。
画家のミレーは「人を感動させるためには、まず自らが感動しなくてはならない」と、自らのポリシーを言葉にして遺した。ターゲットになりきって、その製品・サービスや事業に惚れ込むようでなければ、企画に魂が入っているとはいえないのである。