気づかぬうちに与えてしまうのが「悪い大義名分」である。
一つならまだしも、まとめて与えてしまったら、確実に受注はできず、営業マンとしての評価、会社の評価まで確実に下がってしまう。まずはどのような営業マンの行動が「悪い大義名分」となりうるのか、次から「悪い大義名分」を10項目挙げた。(※ 三回にわけて10項目掲載していきます)営業先、あるいは取引先にこのような印象を与えていないか、日ごろの行動を振り返ってみよう。
「いつもノンアポで来る営業マンだな。私のことをヒマだと思っているのか」
忙しいときに限って、アポイントなしでやって来る営業マンがいる。
本当に親しい営業マンでない限り、総務担当者は会おうとは思わない。ほかの者に行かせて「事前にご連絡してから来社ください」と伝言する。それでもノンアポで来る営業マンがいるから恐れ入る。こういう営業マンに対して総務担当者は、事前に電話連絡が入ったとしても「当分の間は忙しいので時間がとれません。お電話でならご用件を承りますが、どのようなご用件でしょうか?」と応対し、最後には「間に合っています」の一言。正直、どのように営業マンが電話口で話そうが、どのようなすばらしい提案であろうが、一度、ノンアポ営業マンとのレッテルを貼られると、会おうとすることはない。最初から答えは決まっている。
確かに、頻繁に顔を出してくれる営業マンには、総務担当者も根負けする場合があるが、間接部門の少数精鋭化が進む昨今、総務部にひまな時間はない。その営業マンに事前に、提案内容を提示しているならまだしも、いつもノンアポで訪問されては、その営業マンに悪い印象しか持てなくなる。
「時間を守れ。こっちも忙しいんだから」
約束したのに、時間どおりに来社しない営業マンがいる。
連絡もなしに30分、一時間の遅刻、ひどいときは、時間を守らないのが当たり前の営業マンすらいる。総務担当者側は、「忙しい中、時間を取ってあげたのに、せっかくチャンスをあげたのに、これでは仕事にならない」と感じてしまう。
この場合、ここに発注したら、この営業マンを頼ったら、納期に間に合うのか、故障対応にすばやく対応してもらえるのかなど、抱えたくもない不安材料を山ほど抱えることとなる。時間厳守は最低限のビジネスマナー。一事が万事、全てにわたって信頼が、地に落ちしてしまう。自らは時間を守らない、約束を守らない総務担当者であっても、営業マンが同じことをするのは許せない。時間すら守れない営業マンに仕事は頼まない。
「納期は守ってくれ。おかげて、段取りがすべて狂っちゃったよ」
無事に発注をもらえれば、営業マンは一安心。
ところが、納期に間に合わなくなることがある。
とくに、その納品に合わせて他の段取りが組まれているときは、最悪の事態である。
営業マンとしては、あたりまえだが納期は必ず確認すること。そして、納品前後の業務内容も把握する必要がある。総務担当者が物品の購入やサービスを導入する場合、その製品、サービス自体の購入が目的ではない。ある事態が改善されるという事実や、導入により可能になる事柄を買うのである。したがって、納品前後には必ずなんらかの段取りが組まれているはずだ。そして、その段取りを確認することは、さらに踏み込んだ提案、営業ができるチャンスでもある。納期厳守を約束しつつ、その前後の段取りを営業的観点からヒアリングすることは、その後の営業展開に大きく貢献することとなる。また、そこまでヒアリングして、そして問題点を洗い出しフォローしてくれれば、総務担当者は大変喜ぶはずである。一方、納期の遅れが発生した場合、社内で責任を問われるのは、営業マンの窓口となった総務担当者である。一度でもそのような事態が起こると、その営業マンへの発注の可能性は、限りなく低くなるだろう。