「1秒!」で財務諸表を読む方法【企業分析編】
「1秒!」で財務諸表を読む方法【企業分析編】
著者:小宮 一慶
出版社:東洋経済新報社
出版日:2010/12/3
Amazon商品の説明より
シリーズ20万部超のベストセラー、待望の第3弾。
『「1秒!」で財務諸表を読む方法』、
『「1秒!」で財務諸表を読む方法【実践編】』に
次ぐシリーズ最新刊!!
本書の1つ目の特色として、この本1冊で企業のケースを見ながら財務諸表の基本が学べ、企業分析の手法が身につけられるように工夫して作ってあります。本書の第1部では、実際の企業の財務諸表を分析しながら、その分析の前提となる財務諸表の基本的な構成や会計の基礎知識などを【基礎の基礎】や【基礎】というかたちで解説していきます。その部分を理解することで、財務諸表の読み方の基礎が分かるようにしてあります。もちろん、財務諸表の読み方をある程度勉強している人は、その部分は軽く読んでいただいても結構ですし、復習として使っていただいても結構です。会計初心者の方は、できるだけ丁寧に読んでください。
また、本書の二つ目の特色は、財務諸表を読み解くことにより、企業の戦略が見えるということを理解していただくことです。戦略から数字を読み解くこともしていますが、主に、数字を見ることから戦略を分析することを行っています。「数字がすべてを語る」と私はいつも思っていますが、その内容を説明しています。
さらに、3つ目の特色として、マクロ経済の数字もところどころで分析対象に加えています。戦略を考える際に、どうしてもマクロ経済の動きを無視することはできませんが、その考え方も理解していただけるように工夫しています。大きな経済の流れが分からないと本当の企業分析はできないのです。
本書は、3部構成になっています。第1部では、世界同時不況を切り抜けてきた日本企業の状況を、いくつかの業種の代表的な会社の財務諸表を分析することによって読み解いています。業種ごとに業績の落ち込み方や回復度合いが大きく違うことを理解していただけると思います。その中で、先ほども説明したように、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務諸表の読み方の【基礎の基礎】や【基礎】を説明しています。第2部ではJALに焦点をあて、JALの財務諸表の動き、とくに貸借対照表や損益計算書の動きからJAL破たんまでの過程を私なりに分析しています。その中では、普段あまり読み解かない「株主資本等変動計算書」も解説します。JALの苦悩を
表しているからです。
そして、第3部では、先ほども触れたように7つの業界を例にとり、それぞれ
の業界の貸借対照表や損益計算書などの特色を示すとともに、取り上げた各社
の財務諸表から見える戦略分析を行っています。
(「はじめに」より抜粋)
目次
| まえがき |
第1部 | 財務諸表から企業の実態を読み解く |
第1章 | 企業は世界同時不況をどう脱したか~損益計算書から読み解く |
1 | 収益の動きを半導体業界から見る |
| 落ち込みがひどかった半導体業界 |
| 装置産業には固定費が重くのしかかる |
| すぐには販管費のコントロールも難しい |
| リーマンショックとはどのようなものだったか |
2 | 鉄鋼業と損益分岐点 |
| 鉄も大きな苦境に |
| 装置産業と損益分岐点 |
| 費用の動きから企業の状況をみる |
| 四半期ごとの値決めとなった鉄鉱石、原料炭価格の影響 |
3 | 売上高と売上原価の関係を見る |
| 製紙業界に見る減収増益 |
| 今後の原材料費の値上がりに注意 |
4 | 大きく業績の落ち込んだトヨタ自動車とコスト管理 |
| 四半期業績から業績推移を見る |
| セグメントごとに分析する |
| 販管費の徹底削減を実施 |
5 | IFRS、米国会計基準を総合商社の業績で見る |
| 総合商社の業績 |
| 売上急減期にはコストコントロールが難しい |
| 総合商社は米国基準で開示 |
6 | セグメント情報で分析する小売り大手2社の業績 |
| セグメント情報は事業分析の情報の宝庫 |
| 事業ポートフォリオを分析する |
| 海外事業は為替の影響を大きく受ける |
7 | 世界同時不況でも強いユニ・チャーム |
| リーマンショック後も業績伸ばすユニ・チャーム |
| セグメントを分析すると強さの要因が鮮明に |
| アジア市場の比率が高まる |
第2章 | 未曾有の危機に企業はどう対応したか~貸借対照表の安全性指標から見る |
1 | 世界同時不況時の安全性指標の推移を検証する |
| トヨタ、三菱自動車、花王、JALの安全性指標の推移 |
| 危機時に安全性指標を維持できる企業とできない企業…2009年3月期決算に見る企業の安全性指標の動き |
2 | 高島屋とH2Oリテイリングの経営統合破談を財務諸表から読み解く |
| 業績を落とす百貨店業界 |
| 業績低下ながら黒字を確保した高島屋とH2O |
| 大阪での百貨店競争も統合断念に影響 |
| 勝ち組百貨店の強い財務力 |
| M&Aでは面子も大切 |
第3章 | 「資金の流れ」から企業業績を分析する~キャッシュフロー計算書を読む |
1 | トヨタ自動車の業績とキャッシュフロー |
| 黒字転換したトヨタ |
| キャッシュフロー計算書からは違う側面も見える |
| 投資キャッシュフローで設備投資の状況がわかる |
| 財務キャッシュフローはファイナンスの状況と株主還元を表す |
2 | 業績回復とキャッシュフローの関係 |
| キャッシュフローの改善は売上高の改善より遅れる |
第2部 | 企業の危機は、財務諸表のどこに現れるのか |
第4章 | JAL破綻に見る財務諸表の劣化~貸借対象表、損益計算書はどう変わったか |
| JALの財務諸表に見る財務内容の劣化 |
| 損益計算書に見る破綻までの業績推移 |
| セグメント情報で確認すると国際線が大幅減益 |
| 貸借対照表の内容も劣化 |
| クラウン・ジュエル売却での資金繰り確保は破綻の前兆 |
| さらに劣化する資産内容 |
| 手元流動性の急激な悪化 |
| 銀行も怖くなり長期貸出しを短期にシフト |
| 純資産が棄損し実質債務超過に |
| 「株主資本等変動計算書」からJALのおかれた厳しい状況を見る |
| 銀行救済色の強いJAL破綻までの経緯 |
コラム | JALへの公的支援 誰が損をし、得をするのか |
第3部 | 財務諸表から各社の企業戦略を分析する |
第5章 | 各業界に独特の財務諸表のクセを理解する |
| ケーススタディ1 電鉄業界 |
| 業績安定で資金繰りが楽な電鉄業 |
| 電鉄会社の貸借対照表の特徴 |
| 収益も安定している電鉄業 |
| 本業以外の収益力が低い電鉄会社 |
| ケーススタディ2 ドラッグストア、調剤業界 |
| ドラッグストアと調剤業界の相違 |
| ケーススタディ3 旅行業界 |
| 業績が厳しい旅行業界だが |
| 薄利多売の旅行業界 |
| ケーススタディ4 銀行 |
| 銀行決算と新自己資本比率規制 |
| 「自己資本比率規制の強化」が懸念材料 |
| ケーススタディ5 百貨店、アパレル業界 |
| ファーストリテイリングと百貨店の構造的な違い |
| 「厚利多売」のファーストリテイリング |
| 利益が多ければ販管費も多くかけられる |
| 同じアパレル業界でも利益構造には大きな違いがある |
| 戦略の違いで業績に大きな差が出る |
| ケーススタディ6 化学繊維業界 |
| 事業ポートフォリオに見る繊維会社の現状 |
| 事業ポートフォリオの構成で業績が大きく違う |
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