人材開発マネジメントブック
学習が企業を強くする
人材開発マネジメントブック
著者:福澤 英弘
出版社:日本経済新聞出版社
出版日:2009/02
Amazon商品の説明より
学びのメカニズムから研修の企画運営まで理論と実務を融合した実践テキスト!
人材開発の機能を担うのは、いまや人事部門や教育部門だけではありません。刻々と変化する経営環境と現場ニーズに即応できる人材開発機能を事業ラインが備えることが要請されています。本書では、人材開発部門の担当者に加え、自分の能力を高めていきたい社員、部下を伸ばしたい上司・経営者など、ヒトの能力の開発・育成に関わるすべてのビジネスパーソンが知っておきたい人材開発の理論と実務のノウハウを一貫したコンセプトのもと、体系的に解説します。
▽前例踏襲や惰性を脱し、効果的な人材開発プログラムや研修企画を立案するためには、理論の裏付けが有効です。人の学びや育成に関する心理学・経営学などのベーシックな理論をコンパクトに解説します。
▽ 従来型のOJTが機能しなくなる一方、必要なスキルは急速に変化・高度化しています。集合研修を真に役立つ効果的なものにするニーズが高まっています。研修というプロジェクトをどう切り回すか、どのような研修手法がありどんな目的に有効なのか、講師はどう選定すべきか、事前準備と当日の運営はどうおこなうかなど、多くの研修プロジェクトに携わってきた著者の経験と学びをもとに、必要な知識・ノウハウ・勘どころを、ポイントを押さえて解説します。
▽これまで人材開発・研修に携わってきた担当者、教育部門に異動してきて人材開発の全体像が知りたい担当者、部下の能力を高めたいと考えているライン部門長や経営幹部など、さまざまな立場の読者に、情報と気づきを提供します。
目次
| はじめに |
第1部 | 人材開発の理論 |
第1章 | 日本における人材開発の変化 |
1 | 揺れ動いてきた日本企業 |
2 | アメリカにおけるHRMコンセプトの普及 |
| ●HRM以前 ●経営戦略の一要素としてのHRM ●ヒトこそ競争力の源泉との認識 |
3 | 戦略論の展開 |
4 | 日本企業のHRMを取り巻く構造変化 |
| ●共同体としての企業へ ●インサイダー・システムからアウトサイダー・システムへ |
5 | 分野別インサイダー・システムと、それを維持できる前提 |
| ●株主構造/金融 ●雇用/人材/報酬 ●人事管理/人材教育 |
6 | 日本における人材開発の新たな潮流 |
第2章 | 企業における学習プロセス |
1 | 学習とは何か |
| ●学習プロセス ●子供の学習と大人の学習 |
2 | 個人の学習と組織の学習 |
| ●組織とは何か ●組織は個人の集合体ではない ●組織能力の定義 ●学習する組織の条件 ●企業の組織能力を高めるには |
3 | 他者が個人の学習を促す方法 |
| ●他者によって能力を開発させる「人材開発」 |
| ●他者によって人間力を高める「人材開発」 |
| ●他者が刷り込む「教育訓練」 |
4 | 自からの学習を促す |
| ●自己観照と内省 |
5 | 求められているのは「気づき」を促す人材開発の仕掛け |
第3章 | 人材開発のベースとなる学習理論 |
1 | さまざまな学習スタイル |
| ●学習移転モデル:試験に備える学生 |
| ●経験学習モデル:雪辱を期すプロテニスプレイヤー |
| ●批判的学習モデル:シェア低下に直面する経営者 |
| ●実践的コミュニティーモデル:大学の研究室の若い研究者 |
2 | 日本古来の学習 |
| ●真似ることが根本にある学習 ●日本古来の学習の前提 ●学習を促す戦術 |
第4章 | 学習から実践まで |
1 | 能力の4要素 |
2 | 知識を獲得し、適用する |
| ●知識と情報とデータ ●知識を適用させる着想力 |
3 | 繰り返しがスキルを高める |
4 | メタスキルによって自らをモニタリングし、コントロールする |
| ●持続的成長の源泉 ●客観性がメタスキル開発には必要 ●メタスキルは汎用スキル |
5 | 態度が目的に適う行動を支える |
| ●態度を変容させる3つのアプローチ |
6 | 学習から実践までのプロセス(まとめ) |
第5章 | 人材開発は誰が担うのか |
1 | さまざまな立場における人材開発 |
| ●人材開発の主体者と対象者 |
| ●曖昧な人材開発の担い手 |
2 | 人材開発部門か事業ラインか |
| ●ワークプレイス・ラーニングへの着目 |
| ●時間的スコープと汎用性の視点で分担が決まる |
3 | 事業ラインの人材開発能力を強化する |
| ●人材開発の役割分担と特性 |
| ●ラインの人材開発機能強化のための3つの提言 |
第6章 | 人材開発の手段 |
| ●人材開発の2つのアプローチ |
1 | 制度を中心に環境を整えるアプローチ |
| ●現場で運用する制度的環境 |
| ●間接的に働きかける制度的環境 |
2 | 直接個人に働きかけるアプローチ |
| ●企業内教育の3本柱 ●アメリカからもたらされたOJT ●OJTの形骸化 ●高まる現場でのニーズと低下する能力 ●自己啓発の新たな位置づけ ●WBTが学習のスタイルを変える ●人材開発の4つの手段 |
第7章 | キャリア開発 |
1 | キャリア開発が注目される理由 |
| ●キャリアの定義 ●個人と企業の関係の変化 |
2 | キャリア開発のプロセス |
| ●キャリアゴール ●キャリアデザイン ●キャリア開発の施策 ●キャリア開発としての研修 ●キャリアカウンセリング |
第8章 | 人材開発における研修の意義 |
1 | 学習の場としての研修 |
| ●研修とは何か ●正しい知識を転移する場 ●経験学習を支援する場 ●批判的思考を身につける場 ●実践しながら学ぶ場 |
2 | 意識合わせと意欲を高める場としての研修 |
| ●意識合わせでWILLを高める ●キャリア開発でWILLを高める |
第2部 | 人材開発の実践 |
第9章 | 人材開発計画と研修計画の立案 |
1 | 長期的人的資源管理の観点からのプランニング |
| ●動態的人材ポートフォリオ:人的資源計画 ●人材開発体系 ●人材開発計画の司令塔たるCLO ●人材開発体系に盛り込む視点 |
2 | 短期的能力ギャップの観点からのプランニング |
| ●ギャップは現場が真っ先に感じる ●問題と原因を正しく把握する |
| ●事例:汎用部品メーカーのコンサルティング営業へのシフト |
| ●現在のギャップと将来のギャップ |
3 | 研修間の有機的つながり |
| ●インストラクショナル・デザイン・プロセス |
| ●同一研修プロジェクトへのフィードバック |
| ●次年度や類似研修へのフィードバック |
|
第10章 | 研修プロジェクトの設計 |
1 | 研修プロジェクトと講師プログラム |
2 | 研修プロジェクトマネジメント |
| ●プロジェクトマネジメントの視点で捉える |
| ●研修プロジェクトで考慮すべきバランス |
3 | 事例:「コンサルティング営業研修」プロジェクト |
| ●効果を最大化する仕掛け |
4 | 研修プロジェクトを構成する3要素 |
| ●目的:オーナーが期待するゴールイメージ |
| ●内容:受講者とコンテンツ、講師の最適組み合わせ |
| ●運営:費用対効果を最大化する |
5 | カリキュラム設計 |
第11章 | 目的に適った研修手法の選択 |
1 | オープン講座(社外研修) |
| ●長期の講座(大学院・ビジネススクール派遣) ●短期の講座 |
2 | 社内研修 |
| ●集合研修の分類 ●講義 ●ケーススタディーとケースメソッドの違い ●ビジネスゲーム ●ワークショップ ●アクションラーニング ●アスレチック型 ●徒弟制度 ●自学自習の通信教育やeラーニング |
3 | 研修会社の活用法 |
| ●外部機関に求める質と量 ●研修会社を活用する3つの条件 ●研修会社を選ぶポイント ●丸投げの弊害 |
第12章 | プログラムに即した講師の選定 |
1 | 絶対的に優れた講師はいない |
2 | 講師に期待する4つの役割 |
| ●講師は「先生」のイメージが強い ●講師の4つのタイプ ●先生タイプと研究者タイプ ●ファシリテータータイプ ●コーチタイプ ●ケースメソッドで求められる講師スキル ●講師のスタイルを見定める |
3 | 問題意識を共有できるか |
| ●問題意識を共有する ●選定後は講師に任せる |
4 | 講師プログラムごとに使い分ける |
| ●どのタイプの講師に依頼するか |
| ●適正への配慮を欠いたことによる失敗 |
第13章 | 効果最大化のための実施準備 |
1 | 研修プロジェクトの準備 |
| ●ステークホルダーへのインプット ●会場の選定と確保 ●学習環境デザイン ●学習環境デザインによる会場選定 ●効果的な会場の確保は楽ではない |
2 | 講師のプログラムの準備 |
| ●教材と情報:<講師-受講者>-運営担当者 |
| ●ツールとその使い方:<講師-会場>-運営担当者 |
| ●ロジスティクス:<受講者-会場>-運営担当者 |
| ●情報収集と根回し:<受講者-社内ステークホルダー>-運営担当者 |
3 | 事前の根回しの例(アクションラーニングの場合) |
| ●目的の合意 ●期待値のコントロール ●テーマ設定 ●情報収集 |
第14章 | 学びの共同体を築く研修当日 |
1 | ラーニング・コミュニティー |
| ●研修の場もラーニング・コミュニティー ●5階層のメンバーが関係する |
2 | 講師による「場」のコントロール |
| ●「場」の温度が学習活動のバロメーター ●実践コミュニティーとしての3条件 ●場を導く3つのプロセス ●プロセスをコントロールする手段 |
3 | 研修運営担当者による働きかけ |
| ●講師のパフォーマンスを最大限に引き出す |
| ●研修オーナーの名代のつもりで受講者に対する |
| ●会場側と緊密なコミュニケーションを |
第15章 | 組織につなぐ評価とフォロー |
1 | 研修の評価 |
| ●レベル4フレームワーク ●何のための評価なのか ●評価対象・評価者・評価活用者 ●評価目的と手法 ●評価項目と評価基準の設計 ●評価する時期 ●アンケート活用の留意点 |
2 | フォローアップ |
| ●受講者の疑問に答える機会を設ける |
| ●研修で築かれた受講者同士のネットワークを維持する |
| ●受講者自身が周囲に働きかける活動を促す |
3 | 現場でのOJT |
| ●現代におけるOJTの難しさ ●これからのOJTと上司の役割 |
第16章 | 人材開発を担う人材像 |
1 | 戦略と人材開発をつなぐ |
| ●戦略を深く理解し、人材開発で展開する ●各部門の社員の状況を把握する ●各部門内の人材プールを把握する ●企画を通すための腕力がある |
2 | プロジェクトマネジメント能力を備える |
| ●多くの関係者を巻き込む ●適切なリードタイムをとって効率的にスケジュール管理する ●常に複数の選択肢を用意し、優先順位づけする ●配慮の行き届いたコミュニケーションができる |
3 | ヒトや組織への深い洞察力 |
補遺 | 「場」としての組織 |
1 | 個人力の総和と組織力の関係 |
2 | 2つの組織観 |
| ●自律的個人の集合体としての組織 ●情報的相互作用の束としての組織 |
3 | 「場」の論理 |
| ●「場」に適合する個人 ●空間的場と日本人 ●さまざまな演劇空間で演じる個人 |
4 | 場の論理に基づく組織運営 |
| ●プロ野球チームvs.演劇集団 ●組織に正解はない |
5 | 場的組織を活性化させる条件 |
| ●個人の対話力を高める ●情報の透明性を高め、自由と信頼を醸成する ●多様性を常に保つ ●あらためて人材開発と組織開発を考える |
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| 参考文献 |
| ブックガイド |
| おわりに |
| 索引 |
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Training Information
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