世界を制した20のメディア
世界を制した20のメディア
著者:マーク・タンゲート
出版社:ブーマー
出版日:2005-04
内容
巨大メディアブランドはどう生き残ってきたか
近年、メディアの形態は、新聞・雑誌・ブロードキャスト(放送局)と様々であり、そのなかのいくつかのエリートは長年確固たる地位を築き上げてきました。これらのメディアは、経済変化の激しさやインターネットの登場といった、激しい競争社会のなか生き抜き、成功してきました。彼らのマーケティング戦略とはどういったものなのでしょうか。
本書は、初めて、世界トップクラスの20メディアを分析した本であり、シニアマネージャーなどの独占インタビューも加え、世界規模でトップメディアを分析していきます。最後に筆者は、確固たる地位を築き上げたメディアをまとめています。
読書メモ
メディアのブランディングはあまり馴染みがないが、他業界でのブランディング、マーケティング戦略においても大変参考になる。各メディアブランドがニュースと言うコモディティをブランドに昇華してきたやり方は必見。各メディアが読者(ターゲット)をどのように絞り込み、アプローチしているかを並べて眺めれば、絞り込みながらもある程度マスに訴えていかなければならないメディアの試行錯誤(コンセプトづくり、イメージ戦略など)が読み取れる。この試行錯誤の中に商品企画・広告宣伝などのヒントが必ずある。事例もブランド再生やグローバル戦略、イノベーション(MTV)と多岐に渡り、事例も豊富で飽きずに読める。
また、メディアを取り巻く環境の変化を当時と現在を比較して読んでみても面白い。この本が刊行された時点(2004年)よりもインターネットが急速に進化し、各メディアのビジネスモデルに大きな変更を迫っている。紹介されているメディアは同じ業界の中では今後も生き残ると思うが、業界自体を侵食してくる他業界からの挑戦を跳ね返せるかには疑問が残った。しかし著者は本書の中で20のメディアは今後10年よりパワフルに生き残と宣言している。20のメディアは過去いくつもの試練を乗り越えてきており、そこで獲得してきた組織の強み=“変化への柔軟な対応”を活かし、進むべき道を見つけるはずと。
目次
○ | 謝辞 |
○ | 目次 |
○ | 序章 |
1 | CNN |
| いつでもどこでもゴールデンタイム、世界が現場だ。CNNの世界戦略 |
| メディア王、テッド・ターナーのビジョン/24時間、世界が現場だ/CNNIとCNNUS/CNNがローカルと世界の架け橋になる/ブランディングエアー。ブランドメッセージを流す/マルチメディアへの挑戦/マーケティングは充分に、そしてやり過ぎずに |
2 | BBCワールド |
| デジタルマーケティングを利用するBBCワールドの世界市場への挑戦 |
| BBCの伝統と歴史/TVの時代がやってきた。BBCの躍進/伝統あるブランドを引き継いでいくブランドイメージを貫きとおす/デジタルマーケティングを利用したグローバル戦略 |
3 | MTV |
| 世界唯一のグローバル音楽チャンネル。世界の中心にMTV |
| さぁロックしようぜ!/「俺は自分のMTVが欲しい!」キャンペーン/グローバルに考え、ローカルに行動しよう。MTVの世界戦略/MTVの最大マーケティングツールはMTVだ/巨大な利益の裏側で世界の中心にMTV |
4 | タイムズ |
| 高級紙の歴史的遺産を賭けた現代革命。タイムズのブランディング |
| タイムズの古き良き伝統あるヒストリー/タイムズの劇的な変化/研究所を爆発させずに、化学反応を変化させる/新聞界のバーバリーはケイト・モス世代に向くか/読者はメディアのブランディングを購入する |
5 | フィナンシャル・タイムズ |
| 2つのマーケティング戦略。ピンク色の新聞、ファイナンシャル・タイムズ |
| 2つの新聞の歴史/マーケティングの達人からグローバルな新聞へ/ビジネスだけに固執しない/世界をピンクで塗りつぶす/グローバルとローカルに。2つのマーケティング |
6 | ウォールストリート・ジャーナル |
| 攻撃的で革新的なフランチャイズ理論 |
| ダウ・ジョーンズの巨大化/フランチャイズ理論での拡大/品位あるマーケティング |
7 | インターナショナル・ヘラルド・トリビューン |
| 提携を結んでいくマーケティング戦略 |
| コスモポリタン階級とグローバル階級/買収と合併で生き残る/「勝手にしやがれ」プロモーション/グローバルコミュニティを築く/最高の提携先を求める/IHTという3文字のブランド/インターナショナル・ヘラルド・トリビューンの現在と未来 |
8 | ニューヨーク・タイムズ |
| ブランドは内側から成長する。危機を乗り越えたニューヨーク・ タイムズ |
| ニュースの力で社会を向上させる/世界に名だたる同族企業/巨大メディアのプレッシャー。ブレア事件がもたらしたもの/ニューヨーク・タイムズの精神/マンハッタンの外の世界に向けて/メディアブランドの内部革命 |
9 | エル・パイス |
| 翌日も新聞ニュースをテレビCMで流す。エル・パイスのプロモーション |
| 世界で一番有名なスペイン語新聞/ブランドを維持するプロモーション/新聞のニュースをテレビCMに未来の読者を育てていく/ブランドのアイデンティティを模索する |
10 | ツァイト |
| 贅沢を極めるブランド戦略。ドイツの高級週刊誌ツァイト |
| ツァイトは廃墟で産声をあげた/新聞を贅沢品のように扱う/購読者を魅了する豪華なもの/究極の贅沢品を極めていくブランド/監視下にある読者 |
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11 | コリエレ・デラ・セラ |
| マーケティングが明日のニュースを作る。コリエレ・デラ・セラの紙面作り |
| 編集者がブランドを築いた/読者の信頼を勝ち取る/2つの魂と2つの戦略/マーケティングが明日のニュースを作る/コリエレ・デラ・セラのシンボルを広げる |
12 | リベラシオン |
| 偉大な新聞は変革の時期に生まれる。コスモポリタンな新聞へ |
| サルトルが作ったタブロイド新聞/フランスの特殊な問題/ターゲットはボボスという反逆者たち/リベラシオンは前進を続ける |
13 | タイム |
| ニュース黄金期を飾る赤い緑どり。世界中で550万部を売る雑誌 |
| タイム誕生。ルースとハッデンの功績/タイムの大行進/赤い緑どりのブランドアイデンティティ/巨大メディアグループの利点/細分化されていく読者たち |
14 | ナショナル・ジオグラフィック |
| 世界中を見渡しても競争がいない。自然科学雑誌、ナショナル・ジオグラフィックス |
| ホワイトハウス裏の謎の会合/歴史的瞬間を写し出していく/急速な現代化とグローバル化/確固たるブランドアイデンティティ |
15 | プレイボーイ |
| 世界で最も偽造されるウサギ。模倣は最高のブランドの証 |
| マリリン・モンロー、そしてあのウサギ/プレイボーイの黄金期/雑誌の停滞期。それでも消えなかったライバル雑誌たちの台頭から学ぶ/半世紀を迎えたプレイボーイ/プレイボーイを飾ったセレブリティな人々 |
16 | パリマッチ |
| 戦争からスキャンダルまでもがニュース。フランスでトップクラスの週刊誌 |
| 言葉の重みとイメージの力/マッチで火をつけろ/パリマッチはテレビ番組だ |
17 | エコノミスト |
| ポスター広告を利用したマーケティング戦略。知的なビジネス誌 |
| ディケンズの物語のようなサクセスストーリー/親しみやすいエリート主義/エコノミストを読んだことがありません(人事担当者42歳)/見るものを引きつける秀逸なるポスター広告たち/エコノミストの色あざやかなプロモーション/数字が広告効果を証明している |
18 | ヴォーグ |
| 最小限のマーケティング戦略。雑誌そのものがブランド |
| メディアモノリスを作った男、コンデ・ナスト/ヴォーグがファッションバイブルに/大暴落に見舞われてヴォーグを再構築する/グローバルなファッションリーダー/ブランドをエレガントに包みこむ |
19 | ロイター |
| ニュースはマーケティングツールだ。伝統あるメディア、情報通信のロイター |
| 伝書鳩からすべてはじまった/テクノロジーの進化とM&Aでの巨大化/速さと正確性、偏見のなさがロイターを動かす/マーケティングツールとしてのニュース/試練の時を耐えてきたブランド/象徴的なメディアブランドとは |
20 | ブルームバーグ |
| マーケティング戦略をとらない巨大なメディア。世界を制する情報網 |
| ターミナルベロシティ。世界中に網羅された端末/マルチフォーマットスクリーン。同時に複数の情報を/ブルームバーグ=ビジネスニュース/ブルームバーグ不在のブルームバーグ |
| メディアモノリスになる7つの法則 |
Ⅰ | ビジョンを持て |
Ⅱ | ターゲットを絞れ |
Ⅲ | ファンクラブを創れ |
Ⅳ | ワイドにそしてナローに |
Ⅴ | 素早く動け |
Ⅵ | 品質を維持しろ |
Ⅶ | 時流に合わせろ |
■ | 終わりに |
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